会津さざえ堂


さざえ堂という仏教建築物をごぞんじでしょうか?
江戸時代後期、関東から東北地方ではやった、とてもかわった建築様式の観音堂のことで、このお堂を参詣しただけで、100ヶ所のお寺に詣でたことになるという、実にコンビニエンスなお堂です。堂内の回廊を、順路に沿って観音像を拝観していくと、同じところを通らない、らせん状の動線になっているので「さざえ堂」とよばれたようです。

現存しているさざえ堂はそうたくさんはないようですが、とりわけかわったものが会津若松の白虎隊自刃の地として有名な飯盛山にあります。
わたくしごとですが、私のとても好きな作家、澁澤龍彦がエッセイで触れており、何年も前から見てみたいと思っていたものでした。

11月20日、今年になって三度目の会津訪問で、やっと実物にお目にかかることができました。会津若松駅前から約2.5kmくらいにある飯盛山の中腹にさざえ堂が鎮座していました。今はありませんが、1796年当時にあった正宗寺の住職、郁堂(いくどう)が建立、高さ16.5メートルの小ぶりなお堂です。

まずその外観ですが、平面六角形の三層構造、内部が階段ではなくらせん状のスロープになっているので、側面からみるとそのまま斜めの部材が表に出た構造となっています。木造建築で斜めの線とは・・・。実に奇妙な見たことのないかたちをしていて、ちょっといびつな感じさえします。
sazae01受付で拝観料を払い、靴のまま中に入り、すべらないよう桟木=さんぎ(角材)を打ったスロープをぐるぐると登っていきます。なんとこのスロープは二重らせん構造(!)になっていて、上りと下りがはちあわないようになっています。時計回りに上昇していくと最上階はたいこ橋になっていて、今度は左回りにおりていくわけです。
sazae03こんな奇妙奇天烈、不可思議な建物を江戸時代につくった人がいるとは、まさにおどろきです。らせん状とはいえ六角形を斜めにぐるぐるとあがっていくので、直線がゆがんでいるような奇妙な感覚にとらわれ、私はちょっと映画、カリガリ博士(注1)のセットのようだなと思ってしまいました。
日本建築の特徴のひとつとして、水平にひろがり持つ直線的なイメージがあるのですが、このさざえ堂の巻貝の内部へはいりこむような感じはなんとも不思議なものでした。

デンマークのコペンハーゲンにあるラウンドタワーという、らせんスロープをぐるぐるのぼっていく円塔に行ったこともあるのですが、そこは完全な円形で曲線的、やさしい感じがしました。(往き帰りが同じ一重らせんでしたが。)さざえ堂は、それとも違うもっともっと有機的な感じ。

SASブログより

ラウンドタワー(SASブログより)

1965年(昭和40年)日本大学理工学部教授、故小林文次博士によって学術実測調査が行われたそうで、入り口に当時の新聞記事が掲示してありました。
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DNAも二重らせん構造といわれますが、らせんや渦巻き模様というのはなぜか魅きつけられるフォルムをしています。そういえば、ヘルメスの杖「カドゥケウス」(注2)も二重らせんでした。洋の東西問わず、らせんや渦巻きのデザインは自然の造形からきているところに非常に興味深いものがあります。
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付け加えておきますと、拝観料支払所にいる女性の口上が時代がかっていて絶妙だったのと、境内の施設をひとつひとつガイドされる女性が、白虎隊の最期の行動を語るくだりが俳優さんかと思うくらいお上手で、1人でぶらぶら見物していた私も、ついつい耳をそばだてて聞きほれてしまいました。
会津はみどころがたくさんありますが、このさざえ堂は、きっと何度見ても私は飽きないと思うのです。

注1:「カリガリ博士」 ローベルト・ヴィーネ監督、1920年制作 ドイツ表現主義手法をとりいれた無声映画
http://ja.wikipedia.org/wiki/カリガリ博士 (Wikipedia 2014年12月24日閲覧)
注2:「ヘルメスの杖」 ギリシア神話における神々の伝令であるヘルメースの持つ杖。ケリュケイオン、カドゥケウスとも表記される。http://ja.wikipedia.org/wiki/ケーリュケイオン (Wikipedia 2014年12月24日閲覧)
・会津さざえ堂公式サイト http://www.geocities.jp/aizu_sazaedo/
・まぼろし博物館 https://www.ntt-f.co.jp/fusion/no27/museum/museum.htm
・日本の旅 会津さざえ堂・白虎隊自刃の地 http://www.uraken.net/rail/travel-urabe219.html
・Find Trvel え!どんなからくり!?誰もがとりこまれる摩訶不思議な建築「さざえ堂」 http://find-travel.jp/article/846
◇建築に興味のある方はこちらもどうぞ
・水間徹雄建築工房Blog 会津さざえ堂 http://mizuma-kb.blog.eonet.jp/default/2014/01/-4-2222.html
・旧正宗寺三匝堂(通称:「さざえ堂」)の構造調査報告会について http://www.zenjukyo.jp/activity/data/091114sazaedo.pdf

カテゴリー: レポート   タグ: , , , ,   作成者: 伊藤 千惠   この投稿のパーマリンク
伊藤 千惠

伊藤 千惠 について

Ito Chie / 熊本生まれ。昭和音楽短期大学卒業後、インディーズバンド活動に入る。久保田安紀ユニット“”マリンコーニア”、吉田達也ユニット“高円寺百景”等に在籍。宮崎祐子氏にエリックホーキンス・ダンステクニックを学びパフォーマンスに出演。現在、派遣CADオペレーター兼主婦。幻想文学、民俗学、民俗藝能が好き。I was born in Kumamoto pre. and graduated from Showa music university. I have an indie band experience, belonging to groups, each of which was called, "Malinconia" organized by Aki Kubota, and "Koenji Hyakkei" by Yoshida Tatsuya etc. I have learned about a modern dance, which is called, "Erick Hawkins dance" from Yuko Miyazaki and performed. Nowadays, I work as a CAD user. I like, fantasy literature, folklore, and folk performing arts.