茜さす浜街道に朧月 吉田邦吉


 七年目の霜月いつもながら少し肌寒い浜街道沿いの平を歩いていた。あれからあれがなんだったのかと考えさせられる想いを広々としてどこまでも青く透き通った空へ見上げ、何度でも送らせていただく。地震の爪痕が修復された古い塀に残り、わずかに記憶が染みだしている。

 青天に霹靂あれど何ら返事はなく、夏には新聞紙とちくわと糸で釣れるザリガニもいる疎水を抱く道に敷き詰められた砂利が、しまむら和ものつっかけに撫でられて転がる。コンビニの女性が笑顔で接客していた。セブンイレブンのレーズンサンドがうまい。テレビが言うに何もない世界が見えるウルルは登山禁止になる。

 所用を終え出先の自動ドアを抜けると日が沈んでいた。朧月が茜さす空に夕と闇を交歓していた下界では、渋滞のなかを縫うように歩くカップルの向かい側にてコリー犬とシベリアンハスキーが交じったような立派な白黒ワンコが小さな家のもっと小さな犬小屋の前。

 胸を張り留守番していると見えて運命を思った。


カテゴリー: メモ   作成者: 吉田 邦吉 パーマリンク
吉田 邦吉

吉田 邦吉 について

CHIEF EDITOR ▼Yoshida Kuniyoshi / 1981年1月大熊町生まれの原発避難者。中大法卒、2000年より塾長。2013年4月、赤坂憲雄の活動のもと文の道へ、2014年9月22日に卒業同日、「WELTGEIST FUKUSHIMA」で独立し出版事業を開始。エッセイで致知出版大坪社長特別賞。会津民俗学研究会員、書籍編集長、雑誌共同執筆、講演、対談、私設図書館「ふくしま本の森」での読書普及などを行っている。facebook / website / Amazon▼ Essayist. Nuclear evacuee. Independent publisher. Majored in law. Private school. Essay prize. Speeches and Talks at prefectual Museums etc. Like learning languages.