爽快な水色に紫陽花 吉田邦吉

わぁ、と拡がる爽快な水色の空が気づかぬうちに段々と朱色に染まり行く。うす軽く息をつき何かを思わぬ思いに癒され、これはどこまで上が在るのだろう。恐れながら地球が宇宙に生かされるのに必要な距離感なのか、地球が地上に与えた空間の膜なのか。ほんのわずか、表層で、ほんのわずか、すたすた。どうして切妻屋根で縁取られたこの漆喰は黒くならないのだろう。特段の音もたてずに浜風を浴びながら鎮座している。松の葉が緑色の花火をあげっぱなしにして緑色の松ぼっくりを抱えている。民家の軒先辺り小庭では枯れていく花々のそば。青紫蘇みたいな葉たちが称賛している柔らかい色の青紫色と赤紫色ぐらいの二色を恋人同士の様に並んで咲かせて初めて世に出る二輪の紫陽花とまだ白くて小さな紫陽花たちそして濃い桃色で所狭しぽたぽたと微笑みながら咲いている沢山のツツジを眺めていると茶色い虎柄の少し年取った猫が私に気づかずに物陰から歩いてきてにゃにっという顔をして少しよろけながら別の物陰へ歩いていった。あっちのほうでは水がたっぷりしているんだ。夕闇。