海のプラスチックごみ問題からクライシス。吉田邦吉

さわやかな陽射しに美しい自然。日本列島の大自然は素晴らしい。列島であるだけに、海洋文化は民俗学的にも素晴らしいものがある。

しかし最近では、海のプラスチック製品ゴミが、非常事態になっていることが、あまり共有されていないので、せめて私のウェブマガジンでも微力ながら周知に協力したいと思うようになった。

じっくり読んで頂ければ幸い。

昨年の平成29年に皇后陛下お誕生日に際し、だいたい、この一年を振り返って感じられたことをお聞かせくださいとの質問が記者から寄せられたことへの「ご回答」を引用する。まだ人々の記憶に新しいかもしれない。

この1年を振り返り,心に懸かることの第一は,やはり自然災害や原発事故による被災地の災害からの復興ですが,その他,奨学金制度の将来,日本で育つ海外からの移住者の子どもたちのため必要とされる配慮のことなどがあります。また環境のこととして,プラスチックごみが激増し,既に広い範囲で微細プラスチックを体内に取り込んだ魚が見つかっていること,また,最近とみに増えている,小さいけれど害をなすセアカゴケグモを始めとする外来生物の生息圏が徐々に広がって来ていることを心配しています。こうした虫の中でも,特に強い毒性を持つヒアリは怖く,港湾で積荷を扱う人々が刺されることのないよう願っています。

オランダのスーパーでは(the Dutch chain Ekoplaza in Amsterdam.)、2018年にプラスチック包装を一切使わない食料専門品のコーナーを期間限定で設置した(欧州ニュースアラカルト(2)使い捨ての包装は全廃へ 欧州のプラスチックごみ対策最新事情 毎日新聞 20180509 八田浩輔)。欧州のメディアがこぞって取材したそうだ。確かにBBCでも報道されている(World’s first ‘plastic-free’ aisle opens in Netherlands / BBC / 20180303)。

上に挙げた毎日新聞の記事を読むと、「石油由来のプラスチック」と「植物由来のプラスチック」では、自然へのかえり易さ、分解度合いが違うようだ。価格は1~2割も高い。しかし類似のスーパーは欧州主要国の都市部にあふれており、富裕層だけでなく中産階級も取り組んでいる。

世界の海岸ゴミの85%はプラゴミだとされているそうだ。「米ジョージア大などの研究チームの推計では毎年500万~1300万トンものプラスチックごみが世界の海に流れ込む。オランダに近い北海で9割以上の海鳥の胃からプラスチックが検出されたという調査報告も」あるとのこと。

このスーパーの企画立案者は、英国の環境NGO「プラスチック・プラネット」のシアン・サザーランドさん(57)だそうである。容器を変えることでの価格上昇を避けたいとも言っている。多分こちらご本人のサイト⇒A Plastic Planet。こちらTwitterアカウント「Sian Sutherland」。

思えば、欧州では環境保護団体の社会的地位が高いと聞いたことがあるような気がする。日本ではすぐ陰謀がどう政治がどうで色眼鏡にされるのとは違っているようだ。確か記憶によれば、欧米ではガーデニングが流行る理由に、自然をコントロールする基本理念があるから、その延長で環境保護がリスペクトされる。

また、今までは中国が、各国からプラゴミを受け入れしていたが、もうしないそうである。環境汚染が原因らしい。他のアジアの国々が受け入れしているそうであるが、中国ほど許容量はないだろうとのこと。この「他のアジアの国々が受け入れている」を覚えておく。

国際環境NGOグリーンピースは分かりやすいサイトを構築して周知しているようである。(ページへの直接のリンク先こちらgreenpeace

読売新聞も海のプラゴミについて記事を出している。

東京農工大の調査によると、東京湾で採取したカタクチイワシの8割から、マイクロプラスチックが検出された。別の調査では、大阪湾内などの魚からも、高い割合で見つかっている。体内に取り込まれたマイクロプラスチックは、生物の成長や生息を妨げる恐れがある。ポリ塩化ビフェニール(PCB)など、海水中の有害物質が吸着する性質があることも指摘されている。有害物質が蓄積された魚を人間が食べると、どのような影響が生じるのか。現時点では、不明な部分が多い。状況がより悪化する前に、メカニズムを解明したい。海に薄く広がるマイクロプラスチックの回収は難しい。海に流れ込むプラスチックごみの量を減らすことが、対策の基本である。政府は海洋基本計画で、マイクロプラスチック対策を課題の一つに挙げている。プラごみの大幅削減を目指す「プラスチック資源循環戦略」の策定にも乗り出す。」(引用)(微細プラごみ 海洋汚染の深刻化が心配だ 読売新聞 201805030

こう言ったら何かもしれないが、
下は3年前。上の記事は先月である。

NHKのクローズアップ現代、「No.3725 2015年10月29日(木)放送海に漂う“見えないゴミ” ~マイクロプラスチックの脅威~」では、驚愕のことが分かった。2015年10月の環境省による東京湾の調査である。以下、気になったところを箇条書きにする。

1、200トンの海水から1300個のマイクロプラスチックが見つかった。
1立方メートルにおよそ6個もある計算。

2、日本近海50か所以上で平均3個の結果が出た。
nhk

3、それは、世界平均の30倍であった。中国やインドネシアやフィリピンなどから流れてきていると考えられている(アメリカのNGO代表、マーカス・エリクセン Marcus Eriksen, an environmental scientist, educator and author, the 5 Gyres Institute)。他のアジアの国々に受け入れてもらって、また戻ってきている、それも海に。

4、プラごみには、通常のプラごみと、マイクロビーズがある。マイクロのほうは、洗顔剤などに入っているあれだそうである。チューブ1本に数万個ある。

5、ある海鳥を日本で調査したら、プラごみが「脂肪のなかから出てきた」(東京農工大学の高田秀重教授が、海の生物を解剖し調査)

6、「PCBは、かつて食用油の中に混入され、食品公害・カネミ油症の原因となった有害物質。皮膚障害や肝機能障害を引き起こしました。石油から出来ているプラスチックは、油に溶けやすいPCBなどの有害物質を表面に吸着させる働きを持っています。」

7、「高田教授が実験で調べたところ、海に溶け込んでいる有害物質を次々に集め、最大100万倍に濃縮させることが分かりました。これを海鳥が食べると、有害物質が体内に溶け出し、脂肪や肝臓にたまっていく」

 簡単に言えば、プラごみは、有害物質を集めている。それを生物が食べて体にため込む、それを人間が食べる。

8、「東京湾のイワシを調べると、64匹中49匹から平均3個のマイクロプラスチックが見つかり」

 食物連鎖が起きて、どんどん濃縮されていく。

9、プラスチック自体よりも、プラスチックのゴミが有害物質を吸着して集めいくのが問題だそうである(高田秀重さん 東京農工大学教授)。

10、最大100万倍も吸着して、それが人間のなかで排泄されずに残る。

11、どのように有害になったか。「室内実験では観測されております。アメリカでメダカにプラスチックを食べさせて、そのプラスチックには有害な化学物質がくっついていて、それを3か月食べさせ続けると、肝臓に腫瘍、あるいは肝機能障害が起こるというようなことが、アメリカの研究者によって報告されております。」

12、PCBという有害物質以外で、油そのものや流出した石油や、過去に造られた農薬DDTも吸着する。

13、PCBは1960年代に工業製品として使われたため先進国の海で濃度が高い。今も海泥のなかに堆積していて、それをプラごみが「ヨーヨー」のように取り上げてしまうのかと考えられており、それをヨーヨー効果と呼んでいる。

14、下水処理システムではマイクロビーズの流出を処理しきれていない。

15、アメリカでは2015年にレジ袋禁止。

16、群馬大学の粕谷健一教授は、環境中で完全分解される生分解性プラスチックを研究している。

17、「3R」が唱えられている。

 リダクション(削減)、リユース(再利用)、リサイクル(再循環)。これは前に服部美佐子さんの本で読んだことがある。リサイクルを調べる (地球の未来とゴミ学習) 単行本 – 2005/6 服部 美佐子 さえら書房 これを読んで私は郡山市コミュニティFM「KOCOラジ」で話したことがあった。この本は13年前である。今でも使えるアイディアが詰まっている。

18、ペットボトルのリサイクル率は高いが利益にはなっていないため、使えば使うほど税金がかかる。

19、日本ではレジ袋を1人平均300枚も使う計算になる。

以上。

食卓に、すでにプラスチックと放射能は、あがっているのかもしれない。ケミカルは当然あがっている。それは、資本主義で発生してきた戦争に由来する「石油と原子力」がシンボリックだ。金銭。そういった人工的なこと、人の行うことが、海、土、空気、建物、生態系、食物など、あらゆる「環境」に及んで、人に戻ってきている。

* 

プラスチックとは何か。
リフォーム用語集(コトバンク)

「主に石油を原料とし、加温した状態で粘い流動性を示し、所定の形に成形できる有機高分子物質のなかの天然樹脂、合成樹脂の総称。合成樹脂およびそれらの成形物の事を指す事が多い。ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンが四大プラスチックとよばれ、世界の生産量の60%以上を占めている。また、ポリカーボネートやポリアセタール樹脂などは、一般のプラスチックに比べて丈夫で、耐熱性や耐久性に優れている。」

日本大百科全書(コトバンク)

「セルロイドは1868年にアメリカのハイアット兄弟によって発明された。日本でも1905年(明治38)から生産され」ているのが始まりだ。「日本のプラスチックの生産量は1955年(昭和30)に10万トンを超え、それ以降急激に増加し、1970年に500万トン、1981年には700万トンに達したが、それ以降の伸びは鈍化し、1999年は1460万トンであった。金額では日本の化学工業生産の約25%を占める。」(垣内 弘)

わたしは、原発事故で避難した翌年の始め、いわき市の、とある工業団地にて、一人でゴミ拾いをした。当時の理由は市と郡の友好のためだが、道を歩いていたらゴミだらけでがっかりしたのもある。やればやるほど、自然から「ありがとう」という声が聞こえてくるようで、「いやいや、ごめんよ」と、よく内心で会話して嬉しかったものだった。そのぐらい爽やかな気分になった。

いわき市の道沿いでも行い続け、最終的には軽トラの荷台が一杯になった日もあった。その時ちょうど軽トラのエンジンをあれしてしまい、近隣の市民のかたに助けてもらったこともあったり、いわき市民の女性から珈琲を頂いたり、しまいには公務員だと思われていた。この髪形で(笑)

最近またその工業団地ではゴミが増えだしていた。とても心配している。ゴミを捨てて居るのは都会だけではない。自然が美しく、広大な土地だからこそ、「少しなら捨てて良い」が集まってしまって大量のゴミになっている。しかも大体だれが捨てて居るのかは、そこに行けばおおむね、企業の名前まで分かる。

私の家では妻の影響で、マイバック、マイ箸、マイコップ(会津ノダテマグ)や水筒は、日常である。むろん完璧かと言われたら分からない。まだまだ私も学び続けて行きたいと思ってこの記事を書きとどめておきたいと思った。それに、「奪われし未来 Theo Colborn 翔泳社」などもぜひとも読んでもらえれば幸いだ。ノンフィクション形式であり、思ったより読みやすい。

ここでお分かりだと思うが、「放射能の汚染」についても考えて頂けると幸いだ。ゴミは目に見えるものだけでない。マイクロビーズのように、簡単には見えないゴミもまた、人体に影響を及ぼして大問題なのである。

人のことをTwitterで晒しあげて「左翼」「反原発の人」「反基地」「フクシマ人」だのと、他人をイジメ差別している場合ではない。安全安全と叫びまくるような都合のいい科学は偽りの倫理を語るが、本当の意味での倫理や道徳を知っていて言わない。

しかし人が悪口を言っていることに関わるよりも、まずは出来ることから着実に学びの機会を増やしてみることが大事なのだろうと考える。

たとえば、上にあったように「他の地域が汚染を受け入れしても、結局は自分に、はね返って来る」ということを忘れないで頂きたい。中間貯蔵施設や原発事故のことも、もっと思ってもらいたいのである。関係ないでは済まされない。無関心な復興ムードすらも聞かれなくなった。(参考 福島第1原発の作業員死亡 嘔吐後に倒れる、死因不明 東京新聞 20180606)。

最近ではテレビにて「ミツバチと農薬」が報道特集で、放送された(20180526)。こちらも非常に大問題であり、なんら笑えない深刻な危機を迎えるかもしれないからこそ、放送されたのだろう。ミツバチの働きは食卓のかなりの割合の食品をカバーしているらしい。すでに国内は裁判沙汰になっている。

「科学と宗教」を描いた「ダヴィンチ・コード」で有名な作家のダン・ブラウンは、人工知能AIの問題について、科学者は倫理を学ぶことが必要だというようなことを言っているのを最近テレビで見た。私は小説ではなく、映画で観たが当時とても面白いと思った記憶がある。

問題はプラスチックや電気や農薬だけに限らない。最近では種子に関することも大問題になっているが、他にも、PM2.5や排気ガスさらには、実は室内にすら化学物質はあるそうなのである。平成29年度の厚労省の議事録には、難しい名前のケミカルが山ほど出てくる(2017年4月19日 第21回シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会 議事録 医薬・生活衛生局医薬品審査管理課化学物質安全対策室

あらゆる化学や科学が、国策的に工場や商業を持っている。そのひとつひとつが、人・資源・自然の犠牲の上に成り立ち、最終的には自分の犠牲が訪れる場合がある。まずは面白いものから考えるで良いから、始めて見る事が大切だ。

なぜなら資本主義経済とは、過剰生産によって進む面があり、私人(この場合は私企業)の行為を同じ私人が規制することは、政治や法律でない場合では困難である。ひとびとの消費行動の選択によってこそ淘汰されていく。言い換えれば、倫理的な広い意味での責任が自分にもあるということだ。そうして、

無関心や間違いを怒らないから、今日から、時おり、
自分たちの平穏を、本当の意味で思い続けてもらいたい。
あなたの平穏はわたしの平穏である。

人類がチェックメイトする前に
次に読むべきは、時間があるときこちらをぜひ。

参考記事

1、第1回 忍び寄るマイクロプラスチック汚染の真実(文=川端裕人、写真=内海裕之)ナショナル・ジオグラフィック
2、プラスチック汚染 写真で見る国際公害問題 BBC ニュースジャパン
3、プラスチックごみ問題 アジアの責任は? ナショナル・ジオグラフィック
4、使い捨てプラスチックの削減を、米版編集長が声明「地球かプラスチックか(Planet or Plastic?)」長期キャンペーン開始 20180601 ナショナル・ジオグラフィック
5、プラスチックごみいっぱいの川 Voice of America 20180606
6、イデオネラ サカイエンシス201-F6株(Ideonella sakaiensis 201-F6)、”未来へのバイオ技術” 勉強会「バイオ素材百花繚乱9~容器包装と物流のエコイノベーション」、『PET分解菌の発見と分解に関わる酵素の解析~リサイクル効率化への展望 小田 耕平 氏(京都工芸繊維大学 名誉教授) 演者らは、PETボトルなどの原料となる合成樹脂ポリエチレンテレフタレート(PET)を分解する細菌を発見、特定し、発見場所の大阪府堺市にちなんで「Ideonella sakaiensis (イデオネラ サカイエンシス)201-F6株」と命名した。(引用)』、JBA、バイオインダストリー協会、20160808
7、Is there hope for Pasig River rehab? Microorganisms can help Rappler 20170617(in English)
8、「魚や貝を通じてプラスチックを食べている」という研究結果が明らかに 2018年6月14日(木)松岡由希子 Newsweek Japan
9、Biodegradable Bags – We need this 201804 FB
10、Sea salt around the world is contaminated by plastic fibers – Hashem Al-Ghaili 201804 FB