茜さす浜街道に朧月 吉田邦吉

 七年目の霜月いつもながら少し肌寒い浜街道沿いの平を歩いていた。あれからあれがなんだったのかと考えさせられる想いを広々としてどこまでも青く透き通った空へ見上げ、何度でも送らせていただく。地震の爪痕が修復された古い塀に残り、わずかに記憶が染みだしている。

 青天に霹靂あれど何ら返事はなく、夏には新聞紙とちくわと糸で釣れるザリガニもいる疎水を抱く道に敷き詰められた砂利が、しまむら和ものつっかけに撫でられて転がる。コンビニの女性が笑顔で接客していた。セブンイレブンのレーズンサンドがうまい。テレビが言うに何もない世界が見えるウルルは登山禁止になる。

 所用を終え出先の自動ドアを抜けると日が沈んでいた。朧月が茜さす空に夕と闇を交歓していた下界では、渋滞のなかを縫うように歩くカップルの向かい側にてコリー犬とシベリアンハスキーが交じったような立派な白黒ワンコが小さな家のもっと小さな犬小屋の前。

 胸を張り留守番していると見えて運命を思った。